マンションの棟代表選挙をブロックチェーンでやれば票の不正はなくなる?公開された台帳で見るしくみと限界

· 使いみち

マンションの棟代表選挙をブロックチェーンでやれば信じられる?

書かれた票の書きかえは難しくなる。だれが押したかは防げない

スマホで投票

本人確認のあと一人一票

鍵をかけた票を台帳に

だれが何に入れたかは隠す

何か所も同じ台帳

1か所が書きかえるとばれる

だれでも数え直せる

何度数えても同じ答え

理解を助けるための図です。韓国の共同住宅管理法と、中央選挙管理委員会のオンライン投票紹介ページ(2026年9月29日確認)をもとに描きました。

書かれた票をこっそり書きかえるのは難しくなりますが、だれがスマホを押したのかは防げません。票をブロックチェーン(みんなで同じものを持っている台帳)に書くと、投票が終わったあとにだれかがこっそり票を変えるのは難しくなります。変えると、ほかの人が持っている台帳と数字が合わなくなって、ばれます。

でも、スマホをだれが押したのか、横でだれが見ていたのかは、台帳にはわかりません。マンションの選挙でもめるのはまさにここなので、ブロックチェーンだけですべては解決しません。婦人会の会長選挙や、町内の集まりの投票も、しくみは同じです。

いまのマンションの選挙は何が問題なのですか?

投票率を満たすのが難しく、投票箱が信じられないこともあります。韓国のマンション団地では、棟ごとに住民の代表(동대표、棟代表。団地の住民代表会議に入る人)を選びます。韓国の共同住宅管理法施行令第11条は、候補が一人でも、その選挙区の入居者等(家の持ち主と借りている人)の過半数が投票しないと棟代表を選べないと決めています。

過半数を満たすために、一軒ずつ回って票を集める訪問投票をすることもあります。2020年8月、韓国の水原地方裁判所安養支部は、規定になかった訪問投票で選ばれた棟代表の当選を無効としました。訪ねてきた人との親しさで票が揺れかねない、という理由でした。韓国アパート新聞の弁護士の寄稿(2023年4月28日)に書かれています。

投票箱そのものがすり替えられたこともあります。ソウル新聞(2024年4月23日)によると、ソウルのあるマンションで2022年11月の棟代表の再選挙のとき、前もって票を入れておいた投票箱と本物の投票箱がすり替えられました。一審の裁判所は、管理事務所長と選挙管理委員に懲役6か月を言い渡しました。

そのため、電子投票はすでに法律に入っています。共同住宅管理法第22条は、棟代表の選出などを電子的な方法で決められるようにしています。施行令第22条は、携帯電話の本人認証や電子証明書で本人確認をするよう定めています。韓国の国土交通部のサイトの中にある中央共同住宅管理支援センターも「マンションe投票」(아파트e투표)を運営しています。

ブロックチェーンにすると何が変わるのですか?

いちばん大きな違いは、「数え直し」を運営する側だけがしなくてもよくなることです。いまの電子投票は、ふつう一つの会社や機関のコンピューターに票が集まります。そのコンピューターを信じるしかありません。

ブロックチェーンでは、同じ台帳を何か所もが分けて持ちます。一度書かれた記録はあとから書きかえにくく、書きかえるとほかの台帳と食い違います。台帳を受け取った人はだれでも票を数え直せます。

難しいのは秘密投票です。「302号室が1番に入れた」とそのまま書くと、だれでも数え直せても秘密が守れません。そこで票は鍵をかけて(暗号に変えて)書き、だれが出したかと、何に入れたかを切り離します。

韓国の中央選挙管理委員会のオンライン投票紹介ページは、この方法でゼロ知識証明(鍵をかけた票を開けずに数える技術)を使うと書いています。鍵のかかった票を開けずに数え直して、最初の結果と照らし合わせるそうです。

実際にやってみたところはありますか?

韓国には選挙管理委員会のオンライン投票(K-Voting)があります。2013年に始まり、韓国日報(2017年9月7日)は、それまでの2,420件のうち1,725件(71.3%)がマンションのような共同住宅の投票だったと伝えました。

ブロックチェーンはあとから加わりました。京郷新聞(2018年11月28日)によると、韓国の科学技術情報通信部と選挙管理委員会がブロックチェーンのオンライン投票を作り、金融投資協会、ソウル大学のブロックチェーン学会、韓国インターネット振興院のアンケート調査でまず試す予定だとしていました。実際の試験結果は公開資料では見つけられませんでした。ハローティー(2021年6月23日)は、選挙管理委員会が1,000万人以上が使えるブロックチェーン投票システムを作ると伝えました。

いまの紹介ページにも「ゼロ知識証明を適用したブロックチェーンベース」と書かれています。ただ、台帳をどこが分けて持っているのか、マンションの住民がその台帳を直接開けるのかは、公開資料では見つけられませんでした。

スイスのツーク市は2018年6月25日にブロックチェーンの試験投票を始め、約1週間受け付けました。swissinfo(2018年7月2日)によると、参加できた240人のうち72人が投票しました。質問は作ったもので、結果は市を縛るものではありませんでした。

アメリカのウェストバージニア州は2018年11月の選挙で、海外にいる有権者がブロックチェーンのアプリ「Voatz(ボーツ)」で投票できるようにしました。StateScoop(2018年11月7日)によると144人が使い、紙の記録も別に残しました。

ところが2020年2月、MITの研究チームがこのアプリの弱点を発表しました。サーバーが破られれば票を簡単に変えられ、ある設定ではだれに入れたかがわかってしまうおそれがあるというものでした。会社は反論しましたが、州は2020年5月の予備選挙で別の方法を使うことにしました。Nextgov(2020年3月3日)に書かれています。

ブロックチェーンで解決できないことは何ですか?

最初に入った票が本物かどうかは、台帳にはわかりません。家族がお年寄りのスマホで代わりに押しても、台帳にはふつうの1票として書かれます。本人確認は、スマホの認証のような外の手続きに頼ります。

家で投票すると、投票所の仕切りがありません。横でだれかが見ていたり、「入れた画面を見せて」と言ったりできます。確認番号で何に入れたかを証明できると票の売り買いもできてしまうので、そう作ってはいけません。

スマホやアプリが先に破られると、台帳に書かれる前に票が変わります。Voatzの例でMITの研究チームが心配したのも、ここです。台帳を管理事務所や一つの会社だけが持っていると、「分けて持つ台帳」という長所も小さくなります。

お年寄りが使いにくいという問題も残ります。韓国の科学技術情報通信部の2025年の調査(2026年3月26日発表)では、高齢層のデジタル情報化の水準は国民全体の71.8%でした。スマホ投票だけにすると票を出せない人が出るかもしれないので、紙の投票も一緒に置くほうが安全に見えます。

法律もブロックチェーンを求めてはいません。共同住宅管理法が決めているのは、電子的な方法と本人確認の方法までです。ブロックチェーンを使うかどうかは、それぞれのマンションの管理規約と選挙管理委員会が決めることのように見えます。この部分は推測です。

SASEULが台帳2つでどう動くかはSASEULは帳簿が2つ?に、SASEULコインの基本情報はSASEULの基本情報にあります。

参考にしたところ


法律の条文3つ、記事・寄稿8件とMITのニュース記事、選挙管理委員会・国土交通部側の紹介ページ、政府の報道資料、SASEULの公式エクスプローラー・公式ドキュメント・公式Telegramのお知らせを、2026年9月29日に自分で開いて確かめました。